うつの軌跡(5回休職した銀行員の復職体験記)

とある銀行で働いていた私は、ある日、うつになりました。5回の休職&3度の自傷行為を経験しながら、復職に向けて必死にもがいていた日々の記録を書き連ねていきます。このブログは「こうすればウツが治る!」ということは書いていません。経験者誰もが強く実感する通り「うつ病を治す魔法の杖はない」のです。それでも自分の体験(特に躓きやすいところ:うつの地雷)や向き合い方をシェアすることで一人でも多くの方の参考になればいいな、と考えています。

【1】<体験記>たたかいのはじまり-1

「ウツになるのはメンタルが弱い人だ。自分には関係ない」

 

順風満帆な人生を送っていて、そう思う人は多いと思います。私もかつては無邪気にそう考えていました。でも、ウツは生き物の本能である「危機回避セキュリティ」が発動している状態なので、条件と環境を満たせば誰だって起こる可能性はあるというのが私の実感です。

 

これから6年間に及ぶ「ウツとのながいたたかい」を書いていきますが、まずはウツになる前の状態から始めます。

 

私は2001年に、とある銀行に入社しました。リテール営業を経て希望していたIT部門に5年目に異動。開発の上流〜下流工程や大型プロジェクトなどを経験し、とても充実した仕事だと感じていました。仕事量はかなり多く連日22~23時まで残業していました(週末は次の日が休みなので翌日2時まで残業していた時期もあります)。それでも特に不満はなく、ドッタンバッタン大騒ぎしながらも周囲と上手くコミュニケーションしながら働いていました。仕事の愚痴は同僚と飲んで発散して一晩寝たら次の日にはすっかり忘れて元気に働く、そんな日々がいつまでも続くものだと信じていました。

 

転機は人事異動でした。これまで経験のない部署に配属されたのですが、当時は会社の合併を数年後に控え、部門全体が空前の忙しさでした。その戦場のような雰囲気の中で新しい仕事に取組みました。当然、分からないことも多いので上司や周囲に確認・相談しながら進めていたのですが、いつからかそうした相談をすることに徐々に抵抗をおぼえるようになりました。「自分はひょっとしたら無能ではないか」「多忙を極めている同僚に質問するのは嫌がられているのではないか」…etc、etc。最初は軽く頭の隅をかすめる程度の思考でしたが、日増しに不安の萌芽は大きくなっていきました。

 

そうなると今度は仕事が手につかなくなり、以前では考えられないようなケアレスミスが増えていきました。そうした失敗が一層自分を責める感情・思考につながっていく負のスパイラルですね。そのような中で、私は新たにある案件を担当することになりました。納期に余裕がない中で自分なりに努力しましたが、なかなか芳しい結果がでない状態が続きました。

 

不眠が始まりました。

 

身体が重い、帰宅したらすぐ寝よう。そう思っているのに、いざ横になると、仕事のことが頭から離れず、眠れないのです。不眠は徐々に酷さを増して、日中も頭が朦朧とするようになっていきました。

 

そして、その時が来ます。2011年1月下旬のとても寒い朝でした。

 

※ご注意!※

私のウツ経験を語るうえで「自傷行為」は避けて通れないトピックです。次章ではその記載がでてきますが、一般向けのブログなので表現は極力、問題のないレベルにとどめます。ただ、そうした話が苦手な方は読み飛ばしていただくことを推奨させていただきます。