うつの軌跡(5回休職した銀行員の復職体験記)

とある銀行で働いていた私は、ある日、うつになりました。5回の休職&3度の自傷行為を経験しながら、復職に向けて必死にもがいていた日々の記録を書き連ねていきます。このブログは「こうすればウツが治る!」ということは書いていません。経験者誰もが強く実感する通り「うつ病を治す魔法の杖はない」のです。それでも自分の体験(特に躓きやすいところ:うつの地雷)や向き合い方をシェアすることで一人でも多くの方の参考になればいいな、と考えています。

【6】<参考>休職期間の過ごし方-3(STEP2「回復期」基本的な考え方)

それではSTEP2を見ていきましょう。

 STEP2:回復期

(目安 2~3か月)

 

仕事から離れ、十分な睡眠による休養を経たことで精神状態は最悪の時期を抜けているはずです。「何も考えられない」といった状態はかなり改善されていると思います。ただ、少しでも考える余裕が出てくると今度は「自分は復職できるのだろうか?」という不安を覚える方も多いと思います。

ここで注意していただきたいのは「焦る必要はない!」という事です。数か月~数年に渡る仕事での過度なストレスは貴方本来の色々な能力(判断力・集中力・忍耐力など)を大きく蝕んでいます。また必要とはいえ長期間の睡眠中心の生活を続けたことにより身体的な耐久力も著しく低下しています。そして何より大切な「生きる上での気力」ゲージがほぼゼロになっていることを正しく認識する必要があります。

最悪のシナリオは、焦って復職を急ぐあまり「集中力や気力が低下したまま」「ウツになった原因およびそれへの対処方法を検討せず」に会社に戻り、再びウツ病になって再休職してしまうことです。これがウツのもうひとつの怖さです。原因への対処がないままだと、かなりの確率で再発する危険性があります(ウツの再発率については別途、取り上げます)。まずはご自身の状況を見定めて、そこから復職への戦略を立てましょう。以上を踏まえて、回復期の初期状態を考えてみると私自身も経験し、また他のウツ経験者の方からもよく聞くのが以下の症状です。

 ・新聞が読めない

 ・テレビを見ると辛くなる

 ・好きなはずの趣味に全く関心が湧かない

 ・友人からメールが来ても見たくない。

 ・理由もなく不安になり、涙が止まらない

 ・人ごみの中に行くと強烈な吐き気を感じる

 ・親しい友人なのに会いたくない etc

初めて上記の症状を経験する方は愕然とすると思います。今まで数十年積み上げてきた「自分」という個の人格がまるで変ったように感じるかもしれません。でも焦る必要はないのです。ゆっくりと貴方本来の能力や体力・気力を取り戻していけば良いのです。

 

次に具体的にどのようにこのステップを過ごしていくのか、について私の実体験に基づく基本的な考え方をご説明します。注意してほしいのは、この通りにトレースする必要はこれっぽっちもありません。「無理はダメ!」という基本線は維持しつつ、主治医や家族、場合によってはカウンセラーと相談しながら自分に合ったやり方で進めていくことが大事ですね。

 

具体的には、前章 STEP1「休養期」の最後ででてきた「何かやってみたい」と思ったこと、それを気負わずやってみるのがファーストステップとしてお勧めです。趣味でも散歩でも何でも良いのです。少しでも自分が楽しいと思える事、やりたい事をやってみるのが一番です。そうやって、貴方の「生きる力」回復の第一歩を踏み出しましょう。

 

ただ、そうはいっても気力&集中力&体力の低下というステータス悪化がある以上、いきなり以前のように実行することは難しいでしょう。例えば、ドラマが好きな人が久しぶりに視聴しても30分見たら疲れてしまい、見るのを止めてしまうというようなことは往々にしてあります。でもそれで構いません。辛くなったら活動を停止して寝てしまっても良いのです。今はエンジンを温める訓練を徐々に行う時期です。「歯を食いしばって頑張る」のはまだ先の話です。

また、昨日できたことが今日は全くできなくなることもよく起こります。これも気にする必要はありません。ウツの回復は一直線ではなく、上がり下がりの波があるのです。「三歩進んで二歩下がる」くらいの気持ちでいいのです。

 

※回復期については、重要なポイントがいくつもあります。本章は上記の基本的な考え方を述べたところで終了し、個別のポイントは次章に続きます。

 

以上